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日々あったことなんかを適当に書いてきます。そんなに頻繁に更新はしないです。 

ラピュタの世界2 ~The world of Laputa~

前回「ラピュタの世界」と題してレポートした内容の続きになります。

今回はイギリスは南ウェールズ地方のブレナヴォンにある「Big Pit」という場所に行ってきました。
世界遺産にも登録されております。
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◆Big Pitのホームページ◆
Big Pit National Coal Museum
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かつてウェールズ地方は良質な石炭が産出されることで有名でした。
ここBig Pitも1900年代後半まで採掘が続けられていたそうですが、今は閉山されてミュージアムになっています。


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石炭の採掘は地下約90mに坑道が張り巡らされており、見学者は当時から使われていたエレベータで下まで降ります。


このエレベータが「天空の城ラピュタ」にて空から降ってきたシータをパズーが救った、まさにその場所のイメージとリンクするのです。 宮崎駿監督もロケハンでこの場所を訪れたとの事なのでここで映画のイメージを沸かせたのでしょう。

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地下は今も石炭がトンネル壁面にむき出しの状態となっており、時折可燃性のガスの発生リスクもある事から、カメラ、携帯時計など電化製品の持ち込みは一切禁止で、下に降りる前に没収されます。なので残念ながら坑道の写真はありません。

代わりにヘッドライトとガスマスクの入った銀色の箱を渡されます。

ミュージアムと言ってもつい最近まで実際の炭鉱だった場所なので、気を抜けませんしリアルです。

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坑道の中は何とも言えない匂いと空気に満ちていました。
ついさっきまで誰かが掘っていたかのような妙な雰囲気に包まれます。

それだけリアルなのです


写真が取れなかったのでWEBサイトから下記2枚引用しました。
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かつてここでは男性のみならず、多くの女性、子供も働いていたとの事です。

また機械的な動力源の無い時代、重いものの運搬は馬が行っていたようで、坑道には馬小屋の名残もありました。
馬たちの多くは地下で生まれ、その生涯を終えるまで地上に出ること無く働いていたそうです。
というのも長期にわたって地下にいると地上に出たときの強い光で網膜がはがれ、目が見えなくなってしまう為と説明を受けました。


電動力が使えるようになってからは大型モータの動力でトロッコを引き物資を運搬するようになりました。
坑道内は幅が狭い所もあり、そのような場所にはトロッコが来たときに逃げれるように、ところどころ横穴があります。



坑道内での主な通信手段はむき出しの電線をナイフなどでショートさせ、ベルを鳴らすという方法だったそうです。
時折可燃性のガスが発生する坑道でのこの行動 (ダジャレになった) は非常に危険で過去にはショートさせた際に発生した火花が原因で大爆発が発生し、一度に400名以上の工夫たちの命を奪ったとの事でした。

鉱夫たちの稼ぎはそれほどよくはなく、雇い主とのいざこざもあったようですが 彼らの団結力と仲間意識は非常に強く、それが今日のウェールズ地方の強力な地元団結意識へと結びついていると言われています。
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地下90mの坑道は上からの圧力で徐々に天井が下がってきています。
ところどころ坑道を支える鉄骨が曲がっていたりするため非常にリアルに感じられます。


いまはミュージアムとして運営されている坑道ですが、いずれは土砂に埋まり中に入る事が出来なくなるかもしれません。
人の力というのはそんなもんなんでしょう。

地球の力は強大です。
人間ごときがちょっとやそっとしたぐらいではすぐに自然治癒が働いて元に戻ってしまいます。



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ここBig Pitは良い意味で楽しむところではありませんでした。
過去の悲しい歴史と、それの上に成り立つ現在。

人間が作り出した大きな力とそれをはるかに凌ぐ地球の力。


まさにカオスはそこにありました。

地上に上がったとき、何とも言えぬ感情がこみ上げてきたのが思い出されます。




一緒に地下に降りた他の観光者も皆 説明員のヘルメットにおもむろにコインを入れていったのです。






宮崎駿監督はここで何を見て、何を感じたのでしょうか?